職場でのセクハラ。被害に遭っても、相談することで相手に知られたり、会社から不利益な扱いを受けたりするのではないかと、不安に思う人は少なくありません。
実際、セクハラ相談をしたことで、解雇や降格、嫌がらせなどを受けるという「報復」は、残念ながら起こり得ます。しかし、法律は、そのような報復行為から被害者を守るための様々な仕組みを設けています。
本記事では、セクハラ相談における法的保護、安全に相談するための方法、そして万が一報復を受けた際の対処法について詳しく解説します。安心して相談できるよう、正しい知識を身につけましょう。
セクハラをやめさせる伝え方
例文のような言い方で必ず証拠となるものを残すように心がけましょう。
メモ書きでも効力があるそうです。
方法 | 内容 | 例文 |
---|---|---|
1. 直接的かつ冷静に伝える | 明確に不快であることを伝え、相手に自覚を促す | 「そのような発言(または行動)は、不快に感じます。これ以上続けないでください。」 |
2. ユーモアを交えながら抑止 | 直接的すぎない表現で、相手が場をわきまえる可能性を作る | 「その発言、冗談のつもりかもしれませんが、ちょっと行き過ぎですよ。」 |
3. 周囲の力を借りる | 周囲の視線を意識させ、自制を促す | 「そのような発言は、他の方々も不快に感じるかもしれません。気をつけていただけますか?」 |
4. 上司や関係者に相談 | 権限のある第三者を巻き込み、改善を促す | 「先ほどの発言について不快に感じています。今後のためにも、上司(または関係者)と話させていただきます。」 |
5. 被害者を支援する | 第三者としてセクハラを目撃した際に指摘し、支援を行う | 「今の発言、不快に感じる方もいると思います。」や「ここでは適切でないと思います。」 |
1. 直接的かつ冷静に伝える
「そのような発言(または行動)は、不快に感じます。これ以上続けないでください。」
→ 明確に不快であることを伝えることで、相手に自覚を促します。
2. ユーモアを交えながら抑止する
「その発言、冗談のつもりかもしれませんが、ちょっと行き過ぎですよ。」
→ 直接的すぎない表現で、相手が場をわきまえる可能性を作ります。
3. 周囲の力を借りる
「そのような発言は、他の方々も不快に感じるかもしれません。気をつけていただけますか?」
→ 周囲の視線を意識させることで、自制を促す効果があります。
4. 上司や関係者に相談
「先ほどの発言について不快に感じています。今後のためにも、上司(または関係者)と話させていただきます。」
→ 権限のある第三者を巻き込むことで、改善を促します。
5. 被害者の立場を想定しながら支援
第三者としてセクハラを目撃した場合には、「今の発言、不快に感じる方もいると思います。」や「ここでは適切でないと思います。」と指摘することが有効です。
セクハラってどんな行為?
セクハラとは、性的な言動によって相手を不快にさせたり、就業環境を悪化させたりする行為のこと。具体的には、次のような行為が挙げられます。
- 性的な冗談や質問
- 不必要な身体接触
- 性的な内容のメールやLINE
- ポルノ画像の掲示
- 性的な関係を強要すること
これらの行為が、相手にとって不快であれば、たとえ加害者に悪気がなかったとしても、セクハラに該当する可能性があります。
セクハラ相談で報復されないための法的保護
セクハラ相談をしたことで不利益な扱いを受けることは、法律で禁止されています。
- 男女雇用機会均等法:事業主は、セクハラ相談に対応する体制を整備し、相談があった場合には適切な調査を行い、必要な措置を講じる義務があります。罰則は?
- ハラスメント防止法:事業主は、セクハラ防止のための措置を講じ、相談に適切に対応する責務があります。
これらの法律に違反して、セクハラ相談をした従業員に解雇、降格、減給、配置転換などの不利益な扱いをした場合、事業主は罰則を受ける可能性があります。
また、報復行為によって精神的な苦痛を受けた場合には、加害者に対して慰謝料を請求することもできます。
安全にセクハラ相談を行うための対処法
セクハラ相談をするときは、以下の点に注意しましょう。
- 相談相手を選ぶ: 社内であれば、相談窓口、人事部、上司、信頼できる同僚などが考えられます。社外であれば、労働局、弁護士、相談窓口などに相談することもできます。
- 相談内容を整理する: いつ、どこで、誰が、どのような行為をしたのか、できるだけ具体的に伝えられるように準備しておきましょう。
- 証拠を残す: セクハラの内容を記録した日記、メール、LINEの履歴、録音データなどは、証拠として役立ちます。
- 相談記録を残す: いつ、誰に、どのような内容を相談したのかを記録しておきましょう。
セクハラ相談後の対応
セクハラ相談後、会社は事実関係を調査し、セクハラが認められた場合には加害者に対して懲戒処分などの措置を講じます。また、再発防止に向けた取り組みを行うことも義務付けられています。
被害者に対しては、カウンセリングや休職制度などのサポートを提供する必要があります。
解決までの流れは、会社や事案によって異なりますが、一般的には、相談、調査、事実確認、措置、再発防止という流れになります。
まとめ
セクハラは、決して許される行為ではありません。もし被害に遭ったら、一人で抱え込まずに、勇気を出して相談しましょう。法律はあなたの味方です。
報復を恐れて相談をためらう必要はありません。安心して相談できるよう、会社や相談窓口は、適切な対応をとる義務があります。
セクハラのない、安全で働きやすい職場環境を作るために、私たち一人ひとりが意識を高めていくことが大切です。
相談できる窓口
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
- 法テラス: https://www.houterasu.or.jp/
- 相談窓口のご案内 :あかるい職場応援団 – 厚生労働省
男女雇用機会均等法を無視することによる罰則
男女雇用機会均等法では、セクハラ相談に対応する体制整備などを怠った事業主に対する直接的な罰則規定はありません。しかし、以下のようないくつかのペナルティが考えられます。
- 行政指導 厚生労働大臣は、事業主に対して、報告を求めたり、助言、指導、勧告を行うことができます。
- 企業名公表 勧告に従わない場合は、企業名が公表される可能性があります。企業にとって、評判の低下や顧客離れなどのリスクにつながる可能性があります。
- 間接的な罰則 セクハラ被害者が、会社に対して損害賠償請求訴訟を起こした場合、会社は損害賠償を支払わなければならない可能性があります。また、セクハラ問題が原因で従業員のモチベーションが低下したり、優秀な人材が離職したりするなど、間接的な損失を被る可能性もあります。
- 過料 厚生労働大臣から報告を求められたにもかかわらず、報告をせず、または虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料が科せられます。
このように、直接的な罰則規定はないものの、セクハラ対策を怠った場合、企業は様々なリスクに直面する可能性があります。そのため、事業主は、男女雇用機会均等法を遵守し、セクハラ防止に積極的に取り組む必要があります。
参考資料
- 男女雇用機会均等法
- 厚生労働省ウェブサイト
※ この情報は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。