「もう限界かもしれない…」
朝起きた瞬間から腰が重い。夕方になると膝がズキズキ痛む。20年以上ハサミを握ってきたけれど、あと何年この仕事を続けられるんだろう——。
40代に入ってから、そんな不安を抱える美容師さんは少なくありません。
でも、ちょっと待ってください。
「辞める」か「我慢して続ける」か、本当にその二択しかないのでしょうか?
この記事では、体力の限界を感じている40代美容師さんに向けて、美容師免許を活かしたまま働き方を変えるという第三の選択肢をお伝えします。
異業種に転職して一からやり直すのではなく、20年かけて磨いてきた技術をそのまま活かせる道があるんです。
40代美容師が「限界」を感じる本当の理由
体力だけじゃない、心が折れる瞬間
厚生労働省の調査によると、理容・美容師の平均年齢は32歳。これは調査対象の129業種の中で最も若い数字なんですね。
つまり、40代で現場に立ち続けている美容師さんは、それだけで少数派ということになります。
「体力がきつい」というのは、確かに大きな理由です。朝9時から夜8時まで立ちっぱなし。シャンプー台で腰をかがめ、カット中は腕を上げ続ける。若い頃は何ともなかった動作が、40代になると確実に体に響いてきます。
でも、私が美容師さんの話を聞いていて感じるのは、体力の限界と同時に「心の限界」も来ているということです。
たとえば、こんな瞬間はありませんか。
- 後輩に追い抜かれていく焦り
- 若いお客様との会話についていけない疎外感
- 「40代でまだ現場なの?」という無言のプレッシャー
- 土日も出勤で、家族との時間が取れない罪悪感
体力の低下は、実はこうした精神的なストレスと絡み合っていることが多いんです。純粋に「立ち仕事がきつい」だけなら、休めばある程度回復します。でも、心が折れかけていると、回復する前にまた出勤日が来てしまう。その繰り返しで消耗していくわけですね。
辞めたいのに辞められない「免許への執着」
「もう辞めたい」と思いながらも、なかなか踏み切れない人も多いでしょう。
その理由の一つが、美容師免許への執着です。
2〜3年の専門学校に通い、国家試験に合格し、アシスタント時代を経てやっと一人前になった。その過程を思い出すと、「ここで辞めたら全部無駄になる」という気持ちが湧いてきますよね。
私自身も、別の業界で同じような経験をしたことがあります。長年かけて身につけたスキルを手放すのは、想像以上に怖いものなんです。「自分には他に何ができるんだろう」と不安になりますし、転職サイトを見ても「未経験歓迎」の文字に萎えてしまう。
でも、冷静に考えてみてください。
美容師免許は、一度取得したら一生有効です。辞めたからといって、免許が消えるわけじゃない。問題は、「美容師を辞める」か「美容師を続ける」かの二択で考えてしまっていることなんです。
美容師・理容師の方を対象としたプロフェッショナルスクール
辞める前に知ってほしい「第三の選択肢」
異業種転職だけが正解じゃない
美容師の転職先として、よく挙げられるのはこんな職種です。
- アイリスト
- アパレル販売員
- 美容部員
- 事務職
- 営業職
どれも、美容師のコミュニケーション能力や接客スキルを活かせる仕事ではあります。でも、正直に言うと、これらの職種に転職した場合、美容師としての「技術」はほとんど使わないんですよね。
20年かけて磨いてきたカットの腕前、お客様の髪質を瞬時に見抜く目、似合う髪型を提案するセンス——これらは、アパレルや事務職では活かしようがありません。
「もったいない」と感じるのは当然です。
だからこそ、異業種に行く前に、「美容師のまま環境を変える」選択肢を検討してほしいんです。
美容師のまま働き方を変える3つの方法
40代美容師が体力の限界を感じたとき、美容師免許を活かしたまま働き方を変える方法は主に3つあります。
1. 面貸し・業務委託サロンへ移る
自分の都合に合わせてシフトを組めるスタイル。週3日だけ働く、予約が入った時だけ出勤するなど、体力に合わせた調整が可能です。
2. カット専門店へ転職する
シャンプーやカラーがないぶん、体への負担は軽減されます。ただ、お客様の回転が速いので、別の意味で忙しさはあるかもしれません。
3. 介護美容師・訪問美容師になる
高齢者や障害のある方のご自宅・施設に訪問して施術を行う仕事。これが、今回私が最もお伝えしたい選択肢です。
なぜなら、40代の美容師さんにとって、介護美容師・訪問美容師は「体力面」「働き方」「将来性」のすべてにおいてメリットがあるからなんです。
介護美容師・訪問美容師という道
どんな仕事?サロンワークとの違い
介護美容師(訪問美容師)は、美容室に来ることができない方のもとに出向いて施術を行う仕事です。
主な訪問先は、介護施設、病院、そして個人のご自宅。高齢や障害、病気やケガなどの理由で外出が困難な方に、カット・カラー・パーマ・シャンプーなどのサービスを提供します。
サロンワークとの大きな違いは、以下の3点です。
| 項目 | サロン勤務 | 訪問美容 |
|---|---|---|
| 勤務場所 | 店舗に固定 | 施設・自宅に訪問 |
| 1日の施術人数 | 10人以上も | 3〜5人程度 |
| 拘束時間 | 10時間以上 | 実働5〜6時間が多い |
サロンでは次々とお客様が来店するので、息つく暇もないほど忙しい日もありますよね。一方、訪問美容は1人のお客様にじっくり向き合えるのが特徴です。
「お客様を回転させる」という発想がないので、焦らずに施術できるんですね。
体力面のリアル|立ち仕事より楽?きつい?
「訪問美容は体力的に楽」と言い切れるかというと、正直、そう単純な話でもありません。
確かに、長時間の立ちっぱなしからは解放されます。サロンで1日10人以上を施術するような激務とは無縁です。
でも、訪問美容には訪問美容ならではの大変さがあるんです。
- 道具や機材を自分で運ぶ必要がある
- ベッドの上や車椅子での施術は姿勢がきつい
- 移動時間が発生する(特に個人宅訪問の場合)
ある訪問美容師さんは、こう話していました。
「サロンの『ずっと立っている疲れ』とは種類が違いますね。瞬間的に体を使う場面はあるけど、1日中というわけじゃない。トータルで考えると、40代の私には訪問美容のほうが合っていました」
私がいろいろな方から話を聞いて感じたのは、「立ちっぱなしの慢性的な疲労」がなくなることで、40代の体にはかなり優しいということです。
もちろん、腰や膝に爆弾を抱えている方は事前に確認が必要ですが、「サロン勤務が無理だから介護美容師も無理」とは限らないわけですね。
収入の実態|副業で月10万、専業で月30万も
気になるのは収入面でしょう。
結論から言うと、介護美容師は「稼げる」仕事です。もちろん、どれくらい働くかで変わりますが、目安としてはこんな感じです。
| 働き方 | 月収目安 | 稼働日数 |
|---|---|---|
| 副業(週2〜3日) | 8〜10万円 | 月8〜12日 |
| 専業(週4〜5日) | 25〜40万円 | 月16〜20日 |
サロン勤務と比較して驚くのは、労働時間あたりの収入効率が良いこと。
サロンで月25万円を稼ごうとすると、月250時間以上働くことも珍しくありません。一方、訪問美容で同じ金額を稼ぐ場合、月120〜150時間程度で達成できるケースもあるんです。
もちろん、これは施設との契約内容や、個人宅訪問の単価によって変わります。でも、「長時間働かないと稼げない」というサロン勤務の常識が当てはまらないのは確かですね。
40代から始める人が増えている理由
子育てが落ち着いた主婦美容師の復帰先として
出産・育児でサロンを離れた美容師さんが、復帰先として訪問美容を選ぶケースが増えています。
「平日の昼間だけ」「子どもの行事に合わせて調整できる」という働き方が、子育て中の方にはぴったりなんですね。
サロン勤務だと、土日出勤や遅番シフトは避けられません。「時短で働きたい」と思っても、そういう求人はほとんどないのが現実です。
でも訪問美容なら、自分でスケジュールをコントロールできます。「週2日だけ」「午前中だけ」という働き方も可能なんです。
サロンの人間関係に疲れた人の「一人で働く」選択
訪問美容の大きな魅力の一つが、基本的に一人で仕事ができることです。
サロンでは、スタッフ同士の人間関係に悩むことがありますよね。オーナーとの価値観の違い、後輩指導のストレス、派閥のようなもの——。技術は好きなのに、人間関係で消耗している方も多いはずです。
訪問美容なら、施設や個人宅に一人で訪問し、一人で施術します。煩わしい人間関係から解放されて、お客様とだけ向き合えるんですね。
「一人で黙々と仕事がしたい」という方には、まさに理想的な働き方といえるでしょう。
70代で現役の人もいる「長く続けられる仕事」
介護美容師のもう一つの魅力は、年齢を重ねても続けられることです。
サロン勤務だと、40代で「もう限界」と感じる人が多い。でも訪問美容の世界では、50代、60代、中には70代で現役の方もいます。
なぜ続けられるのか。
理由は単純で、自分の体力に合わせて仕事量を調整できるからです。
60代になったら週2日に減らす、70代になったら施設訪問だけに絞る——そういった柔軟な働き方ができるんですね。
「美容師は若いうちだけの仕事」という常識は、訪問美容には当てはまりません。むしろ、人生経験を積んだ40代以降のほうが、利用者さんから信頼されやすいという側面もあるんです。
高齢の利用者さんにとって、同世代に近い美容師さんのほうが話しやすいですからね。
「自分に向いているか」を確認する方法
向いている人・向いていない人の特徴
介護美容師に向いているのは、こんな人です。
- 一人で黙々と仕事をするのが好き
- 高齢者や障害のある方と接することに抵抗がない
- スピードより丁寧さを大切にしたい
- 自分のペースで働きたい
- 「誰かの役に立っている」実感がほしい
逆に、向いていないかもしれない人の特徴も挙げておきます。
- 華やかなトレンドヘアを追求したい
- 若いお客様と流行の話で盛り上がりたい
- チームで働くのが好き
- 営業や集客が苦手
特に「営業が苦手」という点は、気になる方も多いでしょう。
でも安心してください。営業が苦手でも、仕事をもらう方法はあります。次の章で詳しくお伝えしますね。
まずは副業から始めるのがおすすめ
「興味はあるけど、いきなり飛び込むのは怖い」
その気持ち、よくわかります。
だからこそ、まずは副業として始めてみるのがおすすめです。
サロン勤務を続けながら、休みの日に訪問美容をやってみる。実際に体験してみて「自分に合っている」と感じてから、本格的に移行しても遅くありません。
いきなりサロンを辞めて訪問美容一本にするのは、リスクが高いですよね。副業で月8〜10万円を稼ぎながら、「これなら続けられそう」と確信を持ってから決断しても、全然遅くないんです。
具体的な始め方|最初の一歩は何をすればいい?
必要な資格と取得方法
介護美容師として働くために、新たに取得が「必須」の資格はありません。
美容師免許さえあれば、法律上は介護美容師として働けます。
ただし、以下の資格を取得しておくと、仕事の幅が広がります。
| 資格名 | 取得方法 | メリット |
|---|---|---|
| 福祉美容師 | 自宅学習+2日間の実技講習 | 高齢者・障害者への対応スキルが身につく |
| 介護職員初任者研修 | 約130時間の講習 | 介護の基礎知識が学べる、求人の幅が広がる |
「まずは資格を取ってから」と考えがちですが、資格取得と並行して実務を始めることも可能です。
業務委託サービスに登録すれば、資格がなくても研修を受けて仕事を始められるケースが多いんですね。
未経験から仕事をもらう3つのルート
「営業が苦手でも大丈夫」とお伝えしましたが、具体的にどうやって仕事をもらうのか、3つのルートを紹介します。
1. 訪問美容サービスに業務委託で登録する
これが最も手軽な方法です。KamiBito、GOチョキ、care sweetなどの訪問美容サービスに登録すると、会社が集客を代行してくれます。自分で営業する必要がなく、依頼があれば訪問するだけ。営業が苦手な方には最適なルートですね。
2. ケアマネージャー経由で紹介してもらう
地域の居宅介護支援事業所やケアマネージャーに自分のサービスを知ってもらい、利用者を紹介してもらう方法です。最初は顔を覚えてもらうまで時間がかかりますが、信頼関係ができれば安定して仕事が入ってきます。
3. 介護施設と直接契約する
老人ホームやデイサービスなどの施設と契約を結び、定期的に訪問する方法。施設によっては月に1〜2回、入居者全員のカットを任されることもあります。一度契約できれば安定した収入源になりますね。
無料説明会・資料請求から始めよう
ここまで読んで、「ちょっと興味が出てきた」という方へ。
最初の一歩としておすすめなのは、介護美容師の養成講座の無料説明会に参加することです。
介護美容研究所やビューティーキャリアなど、いくつかのスクールが無料説明会を開催しています。オンラインで参加できるものも多いので、まずは話を聞いてみるだけでも、具体的なイメージが湧きやすくなりますよ。
「資料請求だけ」でも構いません。情報を集めることで、「自分に向いているかどうか」の判断材料になります。
まとめ|体力の限界は「終わり」じゃなく「転機」
40代で体力の限界を感じるのは、決して恥ずかしいことではありません。
20年以上、朝から晩まで立ち続けてきたんです。体が悲鳴を上げるのは当然のこと。
でも、だからといって「美容師を辞める」という選択しかないわけじゃない。
美容師免許を活かしたまま、働き方を変える。
介護美容師・訪問美容師という道は、体力の限界を感じている40代美容師さんにとって、まさに「第三の選択肢」になり得ます。
- サロンの長時間立ち仕事から解放される
- 自分のペースで働ける
- 美容師としての技術をそのまま活かせる
- 70代まで続けられる将来性がある
「もう限界」と感じている今この瞬間は、もしかしたら人生の転機なのかもしれません。
20年かけて磨いた技術を捨てる必要はありません。その技術を、これからの社会で必要としている人たちに届けてみませんか。
まずは情報収集から。無料説明会への参加や資料請求など、小さな一歩から始めてみてください。
その一歩が、美容師としての新しいキャリアの始まりになるはずです。








