人手不足で若者はどこへ?求人倍率6倍の中小企業が知るべき現実

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「求人を出しても全然応募が来ない」「やっと採用できたと思ったらすぐ辞めてしまう」──こんな悩みを抱えている経営者は少なくないでしょう。

実は、若者が「来ない」のではなく、構造的に「行けない」状況が生まれているんですね。この記事では、データと実例をもとに、人手不足で若者がどこへ向かっているのか、そして企業が今何をすべきかを解説します。

目次

若者はどこへ?人手不足の現状を数字で見る

まず現状を正しく理解するため、具体的な数字から見ていきましょう。

大企業は0.4倍、中小企業は6.2倍という格差

「若者は大企業に行っている」というのは、なんとなく感じている方も多いかもしれません。しかし、その格差は想像以上に深刻です。

2024年3月卒の求人倍率を見ると、従業員5000人以上の大企業では0.4倍でした。これは完全な買い手市場ですね。つまり、大企業は応募者を選び放題の状態なわけです。

一方で従業員300人未満の中小企業はどうでしょうか。求人倍率は6.2倍です。これは1人の求職者を6社以上が奪い合っている状態を意味します。この数字を見れば、中小企業が「若者が来ない」と感じるのも当然といえるでしょう。

さらに従業員300〜4999人規模の企業でも1.14倍と、人材不足ではあるものの、中小企業ほど深刻ではありません。つまり若者は企業規模が大きいほうへ、明らかに集中しているんです。

企業規模求人倍率状況
5000人以上0.4倍買い手市場(企業が選べる)
300〜4999人1.14倍やや人材不足
300人未満6.2倍完全な売り手市場(深刻な人手不足)

2024年の出生数68.5万人が意味すること

人手不足の根本原因は、やはり少子高齢化です。厚生労働省の推計によると、2024年の出生数は68.5万人で、前年比5.8%減となる見通しです。

1990年代初頭には年間120万人以上生まれていたことを考えると、約30年で半分近くまで減少したわけですね。この世代が労働市場に入ってくるのは2040年代ですから、人手不足はさらに深刻化するのは確実でしょう。

現在の15〜24歳人口も、1990年代の1,500万人から1,000万人を下回るまで減少しています。若者の絶対数が減っているため、どの企業も限られたパイを奪い合う構造になっているんですよ。

少子高齢化と出生数減少が人手不足の根本原因であることを示す図解。1990年代の出生数約120万人から2024年予測68.5万人へ半減し、2040年代の労働市場で人手不足が深刻化すること、若年人口の減少と企業間での若手人材の奪い合いが激化する様子を示している。

若者が「来ない」のではなく「行けない」5つの理由

若者が中小企業や地方、特定の業種に集まらないのには、構造的な理由があります。

そもそも若者人口が3割減少している

先ほども触れましたが、若者の絶対数が減っているのが最大の要因です。1990年代から現在まで約30年間で、若年層人口は約3割も減少しました。

つまり、昔と同じやり方で求人を出しても、応募者数が3割減るのは当たり前なんです。「昔はこれで人が集まったのに」という感覚は、もはや通用しない時代になっているわけですね。

さらに2030年以降は、団塊ジュニア世代が50代を超え、大量退職時代に突入します。内閣府の予測では、2020年の生産年齢人口7,406万人が、2065年には4,529万人まで減少するとされています。約4割減ですよ。

都市部に仕事も生活も集中しすぎている

総務省の2023年調査によると、三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)の転入超過数は10万7,635人でした。前年より2万6,681人も増加しているんです。

若者が都市部に流れる理由は明確です。仕事の選択肢が圧倒的に多く、給与水準も高い。商業施設やエンターテインメントも充実していて、生活の利便性が段違いなんですね。

東京23区への転入者の約50%は20代です。大学進学や就職を機に上京し、そのまま定住するケースがほとんどでしょう。地方出身者にとって、地元に戻る理由が見つけにくい環境が続いているわけです。

地方では40道府県で転出超過となっており、限られた労働人口がさらに都市部へ流出しています。地方の中小企業にとっては、二重の苦しみといえるでしょう。

3K職種のイメージが払拭できていない

職種別の求人倍率を見ると、業種間の格差も深刻です。

令和6年4月のデータでは、事務職の求人倍率が0.62倍なのに対し、保安職業は6.13倍、建設・採掘は5.41倍、サービス職業は3.61倍となっています。

職種求人倍率
事務従事者0.62倍
保安職業6.13倍
建設・採掘5.41倍
サービス職業3.61倍

「きつい、汚い、危険」の3K職種は、若者から敬遠されがちです。体力的にきつい、給与が低い、キャリアアップが見えにくい、プライベート時間が確保しにくいといったイメージが根強く残っているんですね。

建設業や介護職、飲食業などは特に深刻で、需要は高いのに人が集まらない状況が続いています。

終身雇用より自己成長を選ぶ時代に

現代の若者は、仕事に対する価値観が大きく変化しています。「安定した収入」や「長時間働いて成果を上げる」ことよりも、自己実現やワークライフバランスを重視するんですよ。

転職への抵抗感も薄れています。終身雇用制度に縛られず、転職でのキャリアアップを前提にキャリアプランを立てている若者が増えているんですね。現在の職場で働きながらも、常に次のステップを視野に入れているわけです。

さらに「成長の機会」を求める傾向も強まっています。単に快適な環境だけでなく、自身のスキルや知識を高められる仕事を重視します。企業の社会的責任や環境への配慮なども、働く場所選びの重要な判断基準になっているんです。

海外という選択肢が身近になった

グローバル化により、海外で働くハードルが下がっています。外務省の調査では、海外在留邦人数(長期滞在者)は1989年の約34万人から2023年には約71万人まで増加しました。

特にITやクリエイティブといった専門スキルを持つ若者は、日本より高い賃金や自由な働き方を求めて海外へ渡るケースが増えています。アメリカやヨーロッパの主要都市では、日本より賃金水準が高く、優れた福利厚生や労働環境が提供されているんですね。

異文化に触れることで自己成長を図りたいという動機も大きいでしょう。海外での生活経験は、個人の成長や人間関係の幅を広げるチャンスとして捉えられているわけです。

若者から見た「魅力ない会社」の共通点

若者が応募を避ける企業には、いくつかの共通点があります。

情報が少なすぎて不安になる求人

ある調査によると、9割以上の求職者が採用ページの情報不足を理由に応募をためらった経験があるそうです。これは非常に重要なポイントなんですよ。

求職者が知りたいのは、給与や勤務時間だけではありません。実際の仕事内容、キャリアアップの機会、スキルアップのサポート、職場の人間関係、社風など、具体的でわかりやすい情報を求めています。

しかし中小企業の求人には、こうした情報が圧倒的に不足しているケースが多いんですね。「詳細は面接で」「やりがいのある仕事です」といった曖昧な表現では、求職者は不安を感じて応募をためらってしまうわけです。

情報が少ないと「何か隠しているのでは」「ブラック企業かもしれない」と疑われてしまいます。透明性のある情報公開が、応募のハードルを下げる第一歩といえるでしょう。

成長機会が見えない職場環境

若者は「成長の機会」を非常に重視します。単に快適な環境で働くだけでなく、自身のスキルや知識を高められる仕事を求めているんです。

しかし多くの中小企業では、研修制度やキャリアパスが明確でないケースが多いんですね。「まずは現場で覚えてもらう」「見て覚えろ」といった昔ながらの育成方法では、若者は不安を感じてしまいます。

具体的にどんなスキルが身につくのか、3年後、5年後にどんな立場で働けるのか、そうしたキャリアの道筋が見えないと、若者は別の選択肢を探してしまうんですよ。

ワークライフバランスを軽視する姿勢

現代の若者にとって、ワークライフバランスは妥協できないポイントです。仕事は生活のすべてではなく、自己実現のための手段の一つと捉えられています。

長時間労働が当たり前、休日出勤が頻繁、有給休暇が取りにくい──こうした職場環境は、若者から敬遠されます。「若いうちは仕事に打ち込むべき」という価値観は、もはや通用しないんですね。

第二新卒・既卒の20代135名を対象にした調査では、約4割が「働き方改革をしていれば、前職に留まった」と回答しています。在宅ワークやフレックス制度、育休・産休といった制度への関心が高く、こうした制度がある企業とない企業では、採用力に大きな差が出ているわけです。

人手不足は2030年から本格化する

「今も大変なのに、これ以上悪化するのか」と思われるかもしれませんが、残念ながら現実はさらに厳しくなります。

1100万人の労働力が消える未来

2030年から本格的に人材不足が始まります。そして2040年には、なんと1,100万人もの労働人口が減少する見込みなんです。

現在も大企業の7割が人手不足を感じているというデータがあります。しかし、本当の危機はこれからやってくるわけですね。

団塊ジュニア世代が50代を超えて大量退職する時期に入り、若い世代の人口は増えない。この状況では、企業間の人材獲得競争がますます激化するのは避けられません。

採用コストは2倍、3倍が当たり前に

求人競争が激化すれば、当然採用コストも上昇します。すでに求人媒体の掲載料は年々高くなっていますが、これから先はさらに上昇するでしょう。

今まで数万円で確保できていた人材が、2倍、3倍のコストをかけても確保できなくなる可能性があります。資金力のある大企業は賃金や待遇を大幅に引き上げ、積極的に採用活動を展開するからです。

政府は2030年半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げることを目標に掲げています。賃金上昇と採用コスト上昇のダブルパンチで、中小企業の経営はさらに厳しくなるんですね。

実際、2024年1月〜6月の人手不足を原因とした倒産件数は182件と、過去最多を記録しています。対策を打たなければ、倒産という最悪の事態も現実味を帯びてくるわけです。

高齢化で「質」も「量」も減少する

労働人口の減少は「量」の問題だけではありません。高齢化により、従業員の平均年齢が上がることで、「質」の面でも課題が生じます。

体力の低下は避けられず、従業員一人一人のパフォーマンスにも影響が出るでしょう。さらに、親の介護で短縮勤務や休職、転職を余儀なくされるケースも増えています。

愛する家族の世話をしなければならず、残業ができない、時短勤務を希望する──こうした従業員が増えれば、企業全体の労働時間が減少し、生産性が大きく低下してしまうんですよ。

若者が集まる企業がやっている3つのこと

では、人手不足の中でも若者を採用できている企業は、何をしているのでしょうか。成功事例から学べることは多いです。

求職者目線で情報を徹底公開している

成功している企業は、求職者が知りたい情報を惜しみなく公開しています。

仕事内容の具体的な一日の流れ、給与の詳細(基本給・手当・賞与実績)、キャリアパスの明確な道筋、研修制度の内容、実際に働く従業員の声、職場の雰囲気が伝わる写真や動画──こうした情報を丁寧に提供しているんです。

「詳しすぎるのでは」と心配する必要はありません。むしろ情報を出せば出すほど、求職者は安心して応募できるんですよ。透明性の高い情報発信が、信頼につながるわけです。

ある旅館では、多能工化を推進し、従業員が旅館業以外にも飲食業、物販業、旅行業など様々な事業で働ける仕組みを作りました。その結果、10年間で売上と従業員数が3倍に成長したそうです。「どんな働き方ができるのか」を具体的に示すことで、求職者の関心を引いているんですね。

多様な働き方を本気で提供している

在宅ワーク、フレックス制度、短時間勤務、副業OK──こうした制度を実際に運用している企業が選ばれています。

制度があるだけでは不十分です。実際に利用できる雰囲気や文化があるかどうかが重要なんですよ。「制度はあるけど誰も使っていない」では意味がありません。

ある食品製造業の企業では、高齢者向けに午前5時から午前9時30分までの朝の短時間勤務制度を導入しました。高齢者にとって勤務しやすい時間帯を選ぶことで、労働意欲の高い人材が集まり、工場稼働時間を延ばして増産を実現したそうです。

若者だけでなく、高齢者、子育て中の女性など、多様な人材が働きやすい環境を整えることが、人手不足解消のカギになっているんですね。

地域の魅力と企業の魅力を結びつけている

地方企業の中には、地域全体の魅力を発信することで成功しているケースもあります。

ある岡山県の企業では、急成長を支えるために必要な人材像を明確化し、WEBやSNSで情報発信を積極的に行いました。経営者自身のSNSアカウントを活用して、事業の魅力だけでなく、地域で働く意義も伝えたんです。

その結果、マーケティングを担当するマネジメント人材と農林水産業のマネジメント人材をそれぞれ確保できました。「この地域で、この事業に関わる意味」を明確に示すことで、都市部からも人材を呼び込めるわけですね。

地域ならではの素材や商品、伝統文化などを活かした店舗作りをすることで、若者が「ここで働く価値」を感じられる環境を整えている企業もあります。

まとめ|若者不足は「待つ」では解決しない

若者が中小企業や地方、特定の業種に集まらないのは、若者自身の問題ではありません。構造的な要因が複雑に絡み合った結果なんですね。

求人倍率6.2倍という数字が示すように、中小企業は1人の求職者を複数社で奪い合っている状況です。「求人を出せば人が来る」時代は終わりました。

2030年以降、人手不足はさらに深刻化します。1,100万人の労働力減少、採用コストの2〜3倍化、高齢化による生産性低下──待ったなしの状況が迫っているんですよ。

今すぐ始めるべきことは3つです。求職者が知りたい情報を徹底的に公開すること、多様な働き方を本気で提供すること、そして自社と地域の魅力を明確に言語化することです。

「昔はこれで人が集まった」という感覚を捨て、若者の価値観に合わせた採用戦略に転換する。それができた企業だけが、これからの時代を生き残れるでしょう。

人手不足は「待つ」では解決しません。今日から行動を始めませんか?

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