2001年度(H13年度) 東京都大会最優秀賞・関東大会優秀賞 大前勝巳

青年経営者主張者大会
東京都大会 最優秀賞
関東大会優秀賞
調布市商工会青年部 大前勝巳
タイトル「縁に気付き、縁を築く」
こんばんは。調布市商工会青年部の大前勝巳と申します。
みなさん、この言葉をご存知でしょうか?
「小才は、縁を求めて縁に気付かず
 中才は、縁に気付いて縁を投げ打ち
 大才は、袖すり合った縁をも生かす」
小才、中才、大才とは、小中大に才能の才と書きます。
これは、江戸時代の将軍指南役であった柳生家に伝わる家訓です。私はこの家訓を、山岡荘八が書いた「柳生石舟斎」という本で始めて知りました。
もう一度申し上げます。
「小才は、縁を求めて縁に気付かず
 中才は、縁に気付いて縁を投げ打ち
 大才は、袖すり合った縁をも生かす」
私にとっての青年部とは、まさにこの言葉を実践し、部員に伝えていく場であることにやっと気付きました。
 私は今から約1年半前の平成12年1月にサラリーマンを辞め、調布に有限会社ネットインという会社を興しました。私の会社の事業内容は一言で申し上げますとインターネット関連のシステム作成を行う会社です。仕事柄、事務所内で黙々と作業をしていることが多く、青年部活動にもほとんど参加しておりませんでした。初めて、事業に参加したのは青年部で「パソコン講習会」という事業を行った時で、私はそのアドバイザーとして呼ばれました。そこで私はメールソフトや、ワード、エクセルの使い方といった内容の講習を参加者一人一人の方に行いました。
 この事業に参加した率直な感想は、想像していたよりも多くの方がパソコンの知識に乏しく、デジタルデバイドの根は深い、ということです。「デジタルデバイド」とは、簡単に申し上げますと、パソコンを使える人とそうでない人との間に生じる格差のことです。
 この講習に参加してから、数ヵ月後、人手が足りないということで、青年部が運営する「調布市商工まつり」に参加しました。「青年部」というものに、まだ何の期待も思い入れもなかったその時の私は、正直「面倒くさいなあ」と思いながら、嫌々参加したのですが、そこで見たものは、部員の方々の「商工まつり」にかける熱い思いでした。お祭りは2日間に渡って行われ、サンバフェスティバルや、子供向けの出店、ウルトラマンショーや大ビンゴ大会など、内容に富んだものであり、準備の大変さだけでなく、市民の方々に少しでも楽しいものを、少しでも喜んでもらえるものをと部員の方々が知恵を絞った後が伺えるものでした。その苦労を無駄にしない為にも、当日は多くの部員が参加し、皆で助け合ってお祭りを運営し、盛り上げていました。その甲斐あって、最終的には6000 人もの方に来場して戴けました。
 お祭りに来た子供たちの楽しそうな顔は、私まで楽しい気分にさせてくれました。私自身は出店での接客を手伝うくらいで、ほとんど力になれなかったのですが、それだけでも、今まで知らなかった部員の方々とも初めて会うことができただけでなく、お祭りを一緒に盛り上げていくという共通の目的を持って助け合うことで、すぐに打ち解け合うことができました。結果的に、私は様々な業種の方にそこで知り合い、また現在の仕事でのパートナーや、会社経営で貴重なアドバイスをして戴ける先輩方にも出会うことができました。
このお祭りで私は、「人」に触れることの大切さ、そこで生まれる「縁」の大切さにやっと気付きました。このお祭りに参加するまで、私は、「アナログデバイド」だったのです。
 
 先ほどの「デジタルデバイド」をパソコンが使えるかどうか、とすると「アナログデバイド」は、人に出会うことの大切さがわかるかどうか、「縁」に気付き、「縁」を活かすことができるかどうかです。
 
 私は、会社を興すまで従業員が1万人以上もいる大きな会社で働いていました。そこでは「縁」は求めるまでもなく、会社が与えてくれるものでした。会社が与える「縁」に疎ましささえ感じることもありました。「柳生石舟斎」を読んだのは会社員になってからでしたが、その本を読みながらも「縁」の大切さを実感できませんでした。青年部に入るまで、「縁」を求めさえしなかったその頃の私は、小才以下だったのです。
 現在、調布市商工会青年部には約100人の部員がいますが、この「縁」に気付いていない方がたくさんいます。気付いてはいても、忙しくて参加できず、「縁」を活かすことができない方もたくさんいます。そのような方々に「縁」に気付き、「縁」を活かす手助けはできないだろうか。そのために私ができることは何かを考え、1つのアイデアが浮かびました。それは青年部のホームページを立ち上げることです。折りしも、私は、以前手術した椎間板ヘルニアを再発し、歩くのもままならない状態でした。活動にどれだけ参加したくても、体が言うことを効かないのです。忙しかったり、私のように動けなくても参加できる方法はないか。ホームページを作れば、少しは活動の一端を担えるのではないかと考えました。。
 私が考える青年部のホームページでは、活動内容を掲載するだけでなく、部員一人一人に1ページずつスペースを提供します。そこには名前や住所など表面的な情報だけでなく、個々の事業所の具体的な事業内容やメッセージを紹介してもらおうと思っています。現在、調布市商工会青年部では部員が具体的にどのような仕事をしているかわかるようなものがないのですが、このホームページをみてもらえれば、新規部員にも、「このような仕事をしている方々が入っている団体なのですよ」、と説明できます。一方で、自分のページがあるということで、今までパソコンにあまり興味をもっていなかった方も、きっとパソコンを少しは身近に感じてもらえるはずです。また、パソコン初心者向けの質問コーナーも設けるます。
 このように、私は、青年部のホームページを作成することで、青年部での「アナログデバイド」と「デジタルデバイド」の融合を実現したいと考えています。前者には「縁」に気付いてもらい、後者には、パソコンやインターネットの良さに気付いてもらう。現在、社会の「デジタル」化はどんどん進んでおり、今後も更にその度合いを増していくことでしょう。「デジタル」を理解できなければ、時代に取り残されるかもしれない。しかし、最終的に一番重要なのは「アナログ」です。「デジタル」は「アナログ」の反対に位置するものではなく、あくまでも「アナログ」を手助けするものであるはずです。
「小才は、縁を求めて縁に気付かず
 中才は、縁に気付いて縁を投げ打ち
 大才は、袖すり合った縁をも生かす」
いかに小才を中才に、中才を大才にしていくか。
「デジタル」を使って、「アナログデバイド」を解消していくこと。
それが、青年部のホームページの目標であり、私に与えられた青年部での使命なのです。
そして、この想いさえ間違っていなければ、この「縁」はいつの日か、青年部を超え、地域を越え、国境を越え、世界に届くはずです。
 私は、青年部を通して、「縁」に気付くことができました。また、ホームページを立ち上げたいという熱意を青年部に理解していただき、先日ホームページ作成の実行委員長に任命して戴きました。ホームページ作成事業は、予算や組織の問題等、解決していかなければいけないことが山積みです。部員の皆様の情報も1つ1つ集めていかなければいけません。みんなで協力していかなければ、到底達成できない事業です。実行委員長としての業務は膨大であり、その責任の重さに胃の痛む思いです。しかし、私は楽しみながらこの事業をやっていけると思います。何故なら、この事業そのものが、私自身を、小才から中才に、中才から大才にしてくれるチャンスだからです。
みなさんは、青年部に入って今までどのような「縁」に気付いてきましたでしょうか
そして、現在、どのような「縁」を求めていらっしゃいますでしょうか。
みなさん、これからは袖すりあう縁も活かしていこうではありませんか。
最後に、みなさん、今隣にいる方と握手をしてみてください。
その手は暖かくないですか?
「こんにちは」と声をかけてみてください。
心が暖かくなりませんか?
これが縁です
これが青年部です。
ありがとうございました。